最新記事
語学学習

SNSは英語学習にうってつけ!「TikTok」「Instagram」の活用方法

The TikTok Tutor

2023年11月2日(木)13時40分
エイダン・カーター(豪メルボルン大学講師)
ILLUSTRATIONS BY SPICYTRUFFEL/SHUTTERSTOCK

ILLUSTRATIONS BY SPICYTRUFFEL/SHUTTERSTOCK

<どうせ毎日スマホ漬けならその時間を生産的に活用、ソーシャルメディアがあなた専属の語学教師になる>

ソーシャルメディアは私たちの日常生活において、ますます欠かせない一部になっている。スマートフォンを使う時間も増える一方だが、そのほとんどは非生産的な活動に費やされており、心身の健康に深刻な打撃を与えかねない。

こうした時間を生産的なものに変えることはできないだろうか。例えば、ソーシャルメディアは語学の学習にうってつけだ。

オーストラリアでは、2015年にはソーシャルメディアのアクティブ・ユーザーは約58%だったが、22年2月には約83%に増えている。最も人気のあるプラットフォームは依然としてフェイスブックだが、TikTok(ティックトック)やインスタグラムも若年層に大人気。20年には、TikTokはズーム(Zoom)に続いて2番目に多くダウンロードされたアプリとなった。

TikTokの成功は、オーディオビジュアル・コンテンツの双方向性と、人を夢中にさせる魅力によるところが大きい。ユーザーは何時間もスクロールを続け、人気チャンネルは数百万人のフォロワーを誇る。

オーストラリアの学校は、ソーシャルメディアに1日に何回もアクセスする若いユーザーの傾向に注目。特に新型コロナウイルスに伴うロックダウン(都市封鎖)中に、TikTokを利用して生徒との関わりを高めるようになった。

マイクロラーニングの魅力

新しい教育プラットフォームとしてのソーシャルメディアの役割は、外国語学習では特に、もっと評価されていいはずだ。既に語学の個人教師は、対面式レッスンの代わりにTikTokやインスタグラムなどを利用して、フォロワーの語学力向上を手助けするコンテンツを提供している。

そうしたコンテンツの中心は、短いインタラクティブな動画だ。このような学習設計のアプローチは「マイクロラーニング」と呼ばれている。

マイクロラーニングは、学ぶ側にも教える側にも効果的なツールになる。細分化されたレッスンは「日常的なスクロール」の一部として吸収されやすい。学習者にとっては取り組みやすく、知識を定着させやすいだろう。

例えば、短い動画を見て英語の語彙を増やし、難しい単語の発音を練習し、簡単な会話をまねしてみる。あるいは、美容院で役立つ中国語のフレーズを学び、フランス語の微妙な音を聞き分ける練習をして、イタリアに旅行する前にエスプレッソの注文の仕方を学ぶ。

ソーシャルメディア・プラットフォームの高い機能性を生かして、視覚や音声の合図を効果的に使うこともできる。インスタグラムなどでクイズを作成したり、「ストーリー」でコンテンツを保存すれば学習者が後でアクセスできる。

もちろん、ソーシャルメディアのコンテンツは、全くの初心者を数週間でネイティブスピーカーにすることはできない。それでも毎日少しずつ触れれば、大きな効果が期待できるだろう。

初心者は、まず基本を教えるチャンネルを見つけよう。TikTokやインスタグラムにはさまざまなレベルに対応したチャンネルが数多くあり、文法、語彙、リスニング、スピーキングの動画が組み込まれている。重要なのは「理解可能なインプット」、つまり、おおむね理解できるが、実力よりも少しだけ難しいレベルに取り組むことだ。

上級者は、スラングやイディオム、語彙力の強化に特化した動画が効果的かもしれない。

結局のところ、語学を学ぶ道のりは人それぞれだ。ソーシャルメディアをどのように活用できるかも、それぞれの目標によって異なる。そして、ますます多くの語学教師がソーシャルメディア・プラットフォームに進出するようになり、選択肢は増え続けている。

スマホの言語設定を学習中の言語に変更し、音楽や映画を外国語で視聴するなど、ソーシャルメディアは学びたい言語に日常的に触れる機会を増やしてくれる。

最大の利点は、簡単にアクセスできることだ。毎日ソーシャルメディアに没頭して、既に「中毒」になりつつあるのでは? どうせなら語学中毒になってみよう。

The Conversation

Aidan Carter, Head Tutor in Political Science; Tutor in Italian studies and Linguistics, The University of Melbourne

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.

20240521issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月21日号(5月14日発売)は「インドのヒント」特集。[モディ首相独占取材]矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディの言葉にあり

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中