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東洋建、28年3月期営業益150億円以上へ 株主還元も積極化
[東京 23日 ロイター] - 東洋建設は23日、中期経営計画を発表し、2028年3月期に営業利益150億円以上(23年3月期は80億円の見込み)を目指す方針を示した。既存の国内土木・建築事業に加え、今後は海外建設を強化するほか洋上風力事業にも本格参入し収益の柱としていく。配当などの株主還元も積極化していく。
東洋建設に対しては、任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)」が非公開化や事業変革を迫っている。YFOは、海外の戦略再構築や損益管理の仕組みの強化など定量化できる施策のみで利益の底上げは可能で、28年3月期に150億円の営業利益になるとの試算を公表している。
さらには、市場拡大が見込める洋上風力事業など成長戦略が不足しているとも指摘していた。
東洋建設の時田学・執行役員は記者団に対し「今中計はYFOへの対抗提案ではなく、現中計が切れるため、正規のタイミングで出したもの」と述べた。まだ、YFOには説明していないという。
新中計期間中の配当性向は現中計の20─30%の倍以上、下限は1株当たり50円とした。時田執行役員は「これまでは成長投資に向けて財務基盤を強化してきたが、より株主に多く還元する段階になった」と説明した。
計画期間中の5カ年で洋上風力関連のケーブル敷設船などに260億円以上を充てるなど成長投資には340億円を投じる。手元資金に加え、適正水準での外部借り入れも行う。
時田執行役員によると「洋上風力がビジネスに入ってくるところまで見る」という理由で、5カ年の計画にしたという。国内土木・建築請負中心から洋上風力・海外建設を第3、第4の収益の柱に育てていく。
洋上風力は海底ケーブルの敷設工事が27年度付近に始まるとみている。売上高は29年度で120億円、利益率40%程度を見込んでいる。
同社は、22年5月に前田建設工業と従来の資本業務提携を維持し、グループの価値向上を目指すと表明しているが、今中計はその考えに基づいて策定しているという。
YFOは東洋建設の27%の株式を保有し、1株1000円の株式公開買い付け(TOB)による非公開化を提案している。
こうした提案を実質的に検討してこなかったとしてYFOは、コーポレートガバナンス上の問題点を解明するとして臨時株主総会の開催を求めたが、東洋建設は権利乱用に該当する不適法なものとして拒否。YFOは大阪地方裁判所に臨時株主総会の招集の許可を求める申立てを行っている。