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パリのカフェのテラスから〜 フランスって、ホントはこんなところです

RIKAママ|フランス

陽性者も強制隔離措置撤廃 フランスのコロナウィルス感染対策

こんな頃もあった・・と思える時が来るのか?来たのか?  Pixabay画像

フランスのコロナウィルス感染状況は、ここ1カ月でかなり改善されていたようで、12月末には、25,000人近くいた入院患者は現在16,000人未満にまでになり、1日あたりの感染者数も平均2万件近かったものが、ここ最近では、5千件未満にまで減少しています。

この結果を受けて、フランス政府は、2月1日から、これまで於いていたコロナウィルス感染対策を緩和することを発表しました。

陽性者強制隔離と接触者検査廃止

この感染状況が改善した状況を鑑みて、パンデミックが始まった2020年から感染の広がりを抑えるためにとられていた措置は、これまで何度にもわたり、延長されてきましたが、フランス保険総局は、「陽性者の組織的隔離」や「接触者の2日後の検査」はもはや必要ないだろうと判断し、これらの措置が撤廃されることとなりました。しかし、併せて、これらの対応は引き続き強く推奨されるものであることが追記されています。

感染状況が改善したとはいえ、「陽性者も隔離なし?」と、少々、ドッキリさせられるところもあるのですが、このお達しがあるなしに関わらず、フランスでの日常生活は、もうほぼ、もと通りの日常に戻っていることは明らかで、これらの強制隔離や接触者が2日後に検査を受けるという措置も、あまり遵守されている印象はないので、大勢に影響はないものと思われますが、「強制措置」から「強く推奨」のレベルへの変更で、具体的に変わることは、強制隔離のための補償の扱いが変わるということなのです。

フランス人は「黙って従う」、「黙って我慢する」ということはしないので、「強制措置や強制的な義務に対しては必ず補償が伴うもの」として認識されていますが、これまでとっていた「強制隔離措置」により、症状のあるなしにかかわらず、自動的に出勤できなかった分の病欠扱いの補償がなくなり、一般的な病気と同じ扱いになるということです。

これは全く補償がなくなるというわけではありませんが、症状に応じて医者が判断してドクターストップの書類を作成し、これに殉ずるかたちで補償がなされるという「感染拡大防止」のためではなく、「病気そのものの症状のために仕事ができないことに対する補償」という扱いになったということで、保険制度的には、いわゆる「風邪やインフルエンザなど」と同じ扱いになったことを意味しています。

また、これまでワクチンパスポートなどとしても利用されてきたアプリに加えられている感染者追跡機能も廃止というか、長期間のメンテナンスに入るということで、陽性者に接触した場合などの通知もストップします。これには、一時は外出するたびに通知が入って、ちょっとウンザリするくらいでしたが、しかし、一応、不安もあるので、そのたびに検査に行ったりしました。メンテナンスということで、また何かの際には、利用されることもあるのでしょうが、もう二度と必要のあるときが来てほしくはありません。

この3年間の間には、ロックダウンをはじめ、外出制限やマスクの義務化など、罰金付きの措置も色々あり、警察官が見張っているような状況もありましたが、たとえ、罰金が課されたとしても、おとなしく従わない人も少なくない国で、もはや陽性者の強制隔離措置や、ましてや接触者の2日後の検査などは、強制とは名ばかりでコントロールなしには、制御不可能、日常生活がここまでもとに戻っている中、警察官などの管理者側も他に発生する犯罪等に追われて、そんなもののコントロールまでしてはいられないのが実情で、すでにこの強制措置はないも等しいものと化していた現状では、実情と政府の措置のバランスがようやくとれたのかもしれません。

しかし、強制措置には従わずとも、これまで強制隔離のために支払われていた補償は、多分、相当な金額にのぼっていたわけで、政府はこの無駄な支出を抑えることにしたわけですが、これはまず支出削減よりも何よりも感染状況が改善したことによるものであることは言うまでもありません。

どちらにしても、公的にこれらの強制措置が撤廃されたことで、また日常に一歩、近づいた感じは、やはり嬉しくないこともありませんが、同時にウィルス自体が根絶したものでもないのに、「陽性者も強制隔離ではなくなる」ところは、不安も残るところでもあります。

現状、フランスでの感染状況が改善した理由はわかりませんが、ワクチン接種がある程度、浸透したこともあると思いますが、このフランス人の適当さ、緩さにより、多くの犠牲者を出しつつも、免疫が備わったこともあるかもしれないと思っています。

パンデミックが始まるまでは、マスクというものを忌み嫌っていたフランス人にも、以前ほどマスクに対して嫌な顔をする人もいなくなり、一時、マスクの義務化が撤廃された当時は、「おまえ、なんでいつまでマスクなんかしてるんだ!」などと責められるような日本とは逆の同調圧力とも思われる場面にも遭遇したりもしましたが、今では「マスクはしたい人はすればいい・・」という、いい意味で放っておいてくれるようになって他人には口出ししないでくれるようになったことは、助かります。

衛生管理については、未だ、アルコールジェルなどを備えているお店も多いものの、一時は、あちこちが消毒されてキレイになっていた街もすっかり元どおりになり、しっかり臭い駅やトイレなども戻ってきています。

最後まで残る中国からの入国に対する規制

今回の2月1日からの強制隔離等の規制撤廃で、ほぼ日常に戻るフランスにも最後の最後まで残されたものがあります。それは、中国からのフライトや入国に関するもので、中国での感染拡大のために1月初旬から設けられた規制で、「中国からのフライトで入国する者に関しては、機内マスク着用の義務(6歳以上)、出発前48時間以内の陰性証明書提示、到着後に無作為に行われる(全員というわけではない)検査により、陽性になった者に関しては強制隔離措置をとる」というもので、この措置は、しばらく動静を見守るという意味なのか、ひとまず2月15日まで延長されることになりました。

コロナウィルスの感染対策については、最初のロックダウン(ほぼ外出ができない状態)から、様々な経緯を辿ってきましたが、ワクチンが登場し、ワクチン接種が浸透していくにしたがって、徐々に規制を緩和し始め、ある時期から、基本的には、犠牲者が出ることには、ある程度、目をつぶりつつも、日常生活を取り戻し、経済を復活させることにシフトしてきたフランスで、今回の強制隔離撤廃には、「えっ?陽性者も隔離しないの?」とドッキリしてしまう部分もあるのですが、そもそも、そんなにキッチリと守られてもいなかった現状では、そんなに大きな変化が見られるとも思えず、妙な話ではありますが、逆にそこまで不安な感じもしないのです。

とはいえ、この感染対策措置撤廃により、ある程度の自由を得たということは、個人に責任がのしかかるということでもあるので、「自分の身は自分でしっかり守らなければならない」というさらに身の引き締まる気持ちにもなっているのです。

 

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著者プロフィール
RIKAママ

フランスって、どうしようもない・・と、日々感じながら、どこかに魅力も感じつつ生活している日本人女性。日本で約10年、フランスで17年勤務の後、現在フリー。フランス人とのハーフの娘(1人)を持つママ。東京都出身。

ブログ:「海外で暮らしてみれば・・」

Twitter:@OoieR



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