日本に迫る「極度の人手不足」問題...「低賃金」を放置する業界が直面するリスクとは
雇用のミスマッチを軽視してきた産業界
これまでの人手不足は、高齢化に伴う若年層人口の減少など、主に人口動態の面から理解されるケースが多かった。低賃金な業種を中心に、人材がいるにもかかわらず求人に応募してこないという、いわゆる雇用のミスマッチも指摘されてはいたが、産業界はこの問題をあまり深刻に捉えていたとは言い難いだろう。
だがコロナをきっかけに、自らのキャリアを再構築する労働者が増えたことで、雇用のミスマッチはもはや構造的・恒久的な課題となった。低賃金が常態化している業種の場合、労働環境の抜本的な改善を実施しない限り、極度の人手不足が継続するリスクを全面的に引き受けることになる。
経済全体にも同じことが言える。賃上げやITによる省力化を進められない場合、生産能力が不足し、経済全体に供給制限がかかってしまう可能性が否定できない。コロナ後の景気回復期待が大きくても、その需要を取り込めなければ経済は成長しない。今、発生している人手不足について、従来の延長線上だけで理解していると、思わぬ壁に直面するだろう。
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