コラム

価格上昇期に狙い目となる「旧価格マンション」。まだ残っている場所と、その理由は?

2022年10月25日(火)11時49分

そのことに気づいたのは、9月20日に「2022年都道府県地価調査(基準地価)」が発表されたときだ。

今年の基準地価で特に「地価上昇が著しい」と公に認められたのが、東京圏と名古屋圏。そして地方4市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)だ。

そのうち東京圏では「旧価格」の完成済みマンションが姿を消してしまったことは前述したとおり。しかし、名古屋圏と地方4市の多くではまだ「旧価格」の完成済みマンションが残っているのだ。

地価が大きく上昇した名古屋、札幌、仙台、広島、福岡のうち、地価だけでなく、中心地のマンション価格上昇が目立つのは、名古屋、札幌、福岡の3市。中心部の新築マンションならば、「70平米の3LDKが7000万円以上」「2LDKでも6000万円以上」という価格水準まで上がってしまった。

この3市内では、建物が完成済み、もしくは完成間近で2LDKならば4000万円台、5000万円台という価格水準のマンションがみつかる。

まだ、「旧価格マンション」が残っていたのである。

札幌と福岡中心地で「旧価格マンション」を探すと......

たとえば、札幌市中央区で完成間近の「ブランズタワー札幌大通公園」は、2022年10月時点での販売価格が約37平米の1LDKが2810万円から、約55平米の2LDKが4240万円からだ。

札幌市内の繁華街となる「大通り」や「すすきの」に近い場所で、地下鉄駅まで徒歩3分もしくは4分(エントランスによって、異なる)。地上29階建ての超高層タワーマンションとしては抑えた価格設定といえる。

福岡では、最先端ショップが集まる「けやき通り」に近い「ブランシエラ赤坂はなみずき通り」が約60平米の2LDKが5514万円で販売されている。市内随一の高級マンションゾーンの大濠公園エリアも徒歩圏なので、立地の魅力が大きい。

sakurai20221024174202.jpg
「ブランシエラ赤坂はなみずき通り」は設備仕様のレベルも高い。モデルルームにて、筆者撮影

こちらは建物が完成しており、実際の住戸を見て、購入を検討できる。

名古屋では、最も名古屋駅に近いタワーマンションが「旧価格」

リニア中央新幹線で注目度が高まる名古屋でも「旧価格マンション」がみつかる。

プロフィール

櫻井幸雄

年間200件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。・公式サイト ・書籍/物販サイト

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米石油・ガス掘削リグ稼働数、3週連続減少=ベーカー

ワールド

焦点:中国農村住民の過酷な老後、わずかな年金で死ぬ

ワールド

アングル:殺人や恐喝は時代遅れ、知能犯罪に転向する

ワールド

ロシアとの戦争、2カ月以内に重大局面 ウクライナ司
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの文化」をジョージア人と分かち合った日

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ウクライナの水上攻撃ドローン「マグラV5」がロシア…

  • 6

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 7

    「未来の女王」ベルギー・エリザベート王女がハーバー…

  • 8

    「私は妊娠した」ヤリたいだけの男もたくさんいる「…

  • 9

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 8

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story