最新記事
金融政策

日銀、きょうマイナス金利解除も 決定なら「異次元緩和」終了

2024年3月19日(火)10時22分
日銀本店

日銀は19日の金融政策決定会合で、マイナス金利政策を解除するかどうか決める。写真は日銀本店。都内で18日撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

日銀は19日の金融政策決定会合で、マイナス金利政策を解除するかどうか決める。解除を決定すれば17年ぶりの利上げで、2013年4月の国債大量購入とリスク資産買い入れから始まった「異次元緩和」が事実上終了することになる。

鈴木俊一財務相は同日午前の閣議後会見で、「政府として何か申し上げることは控えたい」と決定会合に関する発言を避けた。一方で、春闘の妥結状況がここまで順調なこと、企業の設備投資がおう盛なことに言及し、「明らかにいい兆候が現れている」と述べた。

 

日銀は金融政策の正常化に向けた情報発信を増やすなど地ならしを進め、今春闘で物価上昇を上回る十分な賃上げが実現するかどうか注視してきた。連合が15日に発表した賃上げ率の1次集計は5.28%と、33年ぶりに5%を超えた。

植田和男総裁は、大手企業の多くが組合の要求に回答した13日午後の参院予算委員会で、春闘の動向は「大きなポイントとなる」と述べていた。

19日の会合2日目で物価目標の実現が見通せる状況になったと判断した場合、マイナス金利解除とともに、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)を同時に撤廃する可能性が高い。

短期の政策金利は当座預金3層構造の政策金利残高への付利から、無担保コール翌日物金利に戻した上で、ゼロ―プラス0.1%で推移するように誘導する案が有力。3層構造を廃止し、超過準備にプラス0.1%の付利を実施することで、無担保コールレートがゼロ―プラス0.1%の範囲で推移するように市場調節を行うことになる。

10年金利の誘導目標ゼロ%は廃止し、政策金利を短期金利に一元化する見通し。10年金利の形成は基本的に市場に委ねることになるが、急激な金利変動を招かないように当面は現行6兆円程度の国債買い入れを目安として継続する案が出ている。

上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)の買い入れもやめるとみられる。

斎藤健経産相は午前の閣議後会見で、マイナス金利政策が解除された場合の企業の資金調達や設備投資への影響を問われ、「金利がどんどん上昇する状況になるとは考えていない」とする一方、「中小企業も含めて物価上昇や、仮に金利が上がっても、そういった状況を乗り越えていけるよう生産性の向上などしっかり支援をしていきたい」と述べた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

岸田首相、「グローバルサウスと連携」 外遊の成果強

ビジネス

アングル:閑古鳥鳴く香港の商店、観光客減と本土への

ビジネス

アングル:中国減速、高級大手は内製化 岐路に立つイ

ワールド

米、原発燃料で「脱ロシア依存」 国内生産体制整備へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中