最新記事

働き方

週4日勤務でも「売り上げには影響はなかった」という研究結果

4-Day Workweek Benefits

2023年3月16日(木)15時48分
ウルジャ・カルヤニ(科学ライター)
オフィス

週4勤で集中的に働けばストレスは減るかもしれない AZMAN JAKA/ISTOCK

<労働時間の短縮はストレスを軽減させ、仕事を効率化し、ワークライフバランスを改善させることがわかっていても、なかなか踏み切れない週休3日制>

週4日勤務制(週4勤)に強い追い風が吹いた。2022年6~12月、イギリスで行われた大規模なトライアルで、労使双方にメリットありという結論が出たからだ。

音頭を取ったのは非営利組織の4デイウイーク・グローバル。61の英国企業が参加し、2月半ばに結果が発表された。

対象の従業員は約2900人。総じてストレスや不安、燃え尽き感、疲労、睡眠不足のレベルが下がり、ワークライフバランスも改善したと答えた。財務状況を開示した47社では、売り上げへの影響はほとんど見られなかった。

予想どおりの結果だ、と言うのは米ペンシルベニア大学の心理学者フィリップ・ゲールマン。

働けばお金になるし、充実感もあるが、ストレスはたまるし時間を奪われ、好きなことをやれなくなる。だから労働時間の短縮でいろいろなメリットが得られるというのは「理にかなう」そうだ。

だが、この実験にはいくつか問題がある。対照群が存在せず、週5日勤務制を続けている会社と比較できるデータが示されていないのだ。

また「週4勤」といっても、その実施方法は統一されていない。金曜日を休みにした会社もあれば、1日の勤務時間を減らして5日間に分散した会社もある。業績目標を達成できなければ週5勤に戻すとした会社もある。

働く日数を減らせば締め切りがタイトになりそうだが、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の神経科学者アレックス・コーブに言わせれば、それは必ずしも悪いことではない。「目標に向けて集中できる」からだ。

「困難で大きなプロジェクトに取り組む場合、締め切りを定めていなければ、おそらくいつになっても終わらない。少しも前に進まない可能性もある」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮が短距離ミサイルを発射、日本のEEZ内への飛

ビジネス

株式・債券ファンド、いずれも約120億ドル流入=B

ワールド

中国、総合的な不動産対策発表 地方政府が住宅購入

ビジネス

アングル:米ダウ一時4万ドル台、3万ドルから3年半
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 7

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 8

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 9

    日鉄のUSスチール買収、米が承認の可能性「ゼロ」─…

  • 10

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中