最新記事

YouTube

米国では無名のユーチューバー「テキサス親父」、日本の右派に人気

毒舌で人気を獲得、日本語はほとんど話せなくても日本で7冊の著書がある男とは?

2016年2月12日(金)12時37分

2月7日、トニー・マラーノ氏(写真)は米国ではほぼ無名な存在だが、日本では「テキサス親父」としてタカ派の間で名をはせている。都内で昨年撮影。提供写真(2016年 ロイター/AKIRA SEMBA/HANDOUT VIA REUTERS)

 米テキサス州ダラスにある自宅オフィスで、日本の右寄りな見方を支持する動画をソーシャルメディア向けに制作する男性、トニー・マラーノ氏(66)は自国ではほぼ無名な存在だが、日本では「テキサス親父」としてタカ派の間で名をはせている。

 定年退職したマラーノ氏の著作やTシャツ、講演ツアーなど、ちょっとしたビジネスが生まれるほどだ。一部の動画は30万回以上も視聴されている。一方で、同氏が日本の国家主義者たちの代弁者となっていると批判する声も聞かれる。

 「私はただ自分の意見を言っているだけ。(批判する人たちは)なぜ恐れているのか。どんな危害も与えるつもりはない」と、ニューヨーク市のブルックリンなまりでマラーノ氏は語る。

 マラーノ氏は日本の右派から受け入れられている数少ない欧米人の一人だが、そのおどけた態度と毒舌は同氏を際立たせている。

 同氏が日本で注目を集めるようになったのは約7年前、日本に対して攻撃的な反捕鯨活動を行っていた「シー・シェパード」を批判し始めたときだった。

 テキサスから投稿した動画は遠く日本まで届き、マラーノ氏のファンは増えていった。同氏も日本について興味をそそられるようになり、研究を深め、動画を増やしていった。一段と注目が集まるようになるにつれ、同氏の悪名も広がった。

 その後、出版の話が持ち上がり、数年のうちに支持者らがテキサス親父の日本事務局を立ち上げるまでになった。同事務局によると、マラーノ氏は日本語でこれまでに7冊の本を出版し、今年さらに3冊出る予定だという。

1年で80本以上の動画配信

 かつては電話会社に勤め、人生の約半分をテキサスで過ごしているというマラーノ氏は、動画投稿サイト「ユーチューブ」で「PropagandaBuster」というチャンネルを持っている。同氏はほとんど日本語を話さない。

 マラーノ氏は、自身のミッションについて、米国と韓国と日本の軍事同盟を強化すること、そして権力者に真実を語ることだとしている。

 同氏は過去1年間で80本以上の動画を発表。動画には日本の視聴者のために日本語字幕がついているが、これは事務局が提供している。同事務局には、翻訳者7人と編集者3人がいる。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ノババックス、サノフィとコロナワクチンのライセンス

ビジネス

中国高級EVのジーカー、米上場初日は約35%急騰

ワールド

トランプ氏、ヘイリー氏を副大統領候補に検討との報道

ビジネス

米石油・ガス掘削リグ稼働数、3週連続減少=ベーカー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の…

  • 5

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 6

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    アメリカでなぜか人気急上昇中のメーガン妃...「ネト…

  • 9

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中