最新記事

中米

ニカラグア大統領選、対抗馬を拘束し現職オルテガ4選 欧米は独裁化を懸念

2021年11月9日(火)11時04分
中米ニカラグアの大統領選挙の投票所

中米ニカラグアで7日に実施された大統領選挙の開票がほぼ終了し、事前に有力な対抗馬を拘束するなどして排除した現職のオルテガ氏が4期連続当選を決めた。写真は7日、マナグアの投票所に国旗を飾る選挙関係者(2021年 ロイター)

中米ニカラグアで7日に実施された大統領選挙の開票がほぼ終了し、事前に有力な対抗馬を拘束するなどして排除した現職のオルテガ氏が4期連続当選を決めた。米政府は公正な選挙実施を求め、制裁を発動する可能性を警告した。

選管当局が発表した開票率ほぼ100%の集計では、オルテガ氏率いる与党サンディニスタ民族解放戦線の連合が約76%の票を獲得した。

オルテガ氏はここ数カ月に立候補を予定していた対立候補や反体制派などを相次ぎ拘束し、野党の選挙参加資格を剥奪するなどして弾圧を強めており、西側諸国や中南米の多くの国々が選挙の公正性について深い懸念を表明していた。

欧州連合(EU)や米州機構は選挙監視団の派遣を認められず、海外のジャーナリストは入国を禁止された。

ブリンケン米国務長官は、他の民主主義国家と協力し、ニカラグア政府の「非民主的行動」への関与に対し、制裁やビザ(査証)の発給制限、協調行動などさまざまな手段を講じる用意があると述べた。

EU加盟27カ国は声明で、オルテガ氏は反体制派やジャーナリスト、活動家の「組織的な収監、嫌がらせ、脅迫」を行っていると指摘、今回の選挙でニカラグアの「独裁政権への転換が完了」したとの見方を示した。

米州で最も長く政権を維持しているオルテガ氏は7日、「ニカラグア人の圧倒的多数」がもたらした勝利だと強調していた。

キューバ、ベネズエラ、ロシアはオルテガ政権に支持を表明した。

オルテガ氏は妻のムリジョ副大統領とともにここ数年で弾圧的な政治手法を強めており、再選により盤石な体制を確保した。選管によると、投票率は65%だった。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ICC、ネタニヤフ氏とハマス幹部の逮捕状請求 米な

ビジネス

米年内利下げ回数は3回未満、インフレ急速に低下せず

ワールド

イラン大統領ヘリ墜落、原因は不明 「米国は関与せず

ビジネス

FRB副議長、インフレ低下持続か「判断は尚早」 慎
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 4

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 5

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 6

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 7

    ベトナム「植民地解放」70年を鮮やかな民族衣装で祝…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 10

    「親ロシア派」フィツォ首相の銃撃犯は「親ロシア派…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 7

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 8

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中