最新記事

ドイツ

女性のトップレス遊泳、公営プールでベルリン当局が許可 その理由は?

2023年3月20日(月)16時00分
青葉やまと

ドイツで水着論争が繰り返されてきた...... Josep Curto-shutterstock

<裸に対しておおらかなドイツで、プールを訪れる女性が胸部を覆わなくてもよいことが正式に認められた......>

ドイツの首都ベルリンにおいて、女性が公共のプールをトップレスで利用することが正式に可能となる。裸に寛容なドイツ文化にあって、女性だけが胸を隠すのは差別ではないか、との申し立てが正式に認められた。

ルール変更のきっかけは、昨年12月のある事件だった。米CNNは、公営の屋内プールをトップレスで利用していたある女性が、係員から注意を受けたと報じている。男女差別だと感じたこの女性は、市議会のオンブズマンに訴え、このたび主張が認められた。

ベルリンの公営プールではこれまでも、女性が胸部を隠さなくてはならないとの明示的な規則は存在しなかった。ただし、プールの利用規則は、性別を問わず水着を着用するよう義務づけている。実態としては、女性は胸部まで覆いのある女性用水着の使用が求められていた。

出入り禁止処分もあったトップレス、新規則で一転許可

英スカイニュースによると、トップレスで泳ぎたい女性は胸部を隠すか、またはプールから退出するかの選択を迫られていたという。ときには、施設への永久的な出入り禁止を言い渡されることもあった模様だ。

今回のオンブズマン事務所による勧告を受け、ベルリン市内の公営プールを運営する企業は、服装に関する規定を変更した。これまで明文化された規定のなかった女性のトップレスについて、新規則では明示的に許可する。規定変更の具体的な日程は明かされていない。

オンブズマンの代表を務める女性は、スカイニュースに対し、「この決定を非常に歓迎します」とコメントしている。「男性、女性、ノンバイナリを問わず、すべてのベルリン市民に平等な権利が確保され、(公営プールの)スタッフも法的に確実な判断基準を持つことができるためです」

ドイツで繰り返してきた水着論争

トップレスを正式に認めた今回の裁定は、昨年の中部ゲッティンゲンの街の判断に次ぐものだ。ドイツ国営メディアのドイチェ・ヴェレが報じたところによると、昨年4月にはゲッティンゲンの街で、女性が公共のプールをトップレスで利用することを許可するよう、正式に勧告が出された。これがドイツ初の判断となった。

ヌードに寛容な文化と性的な視線のはざまで、論争は絶えない。CNNによると2021年の夏にも、ベルリンで騒動が起きている。市内のウォーターパークを訪れたフランス人女性がトップレスでいたところ、敷地から退去するよう警備員に命じられた。女性は市を相手取り、金銭的補償を求めている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ガザ南部、医療機関向け燃料あと3日で枯渇 WHOが

ワールド

米、対イスラエル弾薬供給一時停止 ラファ侵攻計画踏

ビジネス

米経済の減速必要、インフレ率2%回帰に向け=ボスト

ワールド

中国国家主席、セルビアと「共通の未来」 東欧と関係
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    習近平が5年ぶり欧州訪問も「地政学的な緊張」は増すばかり

  • 4

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 7

    迫り来る「巨大竜巻」から逃げる家族が奇跡的に救出…

  • 8

    イギリスの不法入国者「ルワンダ強制移送計画」に非…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中