最新記事

ウクライナ情勢

ロシア軍がウクライナ南部の港イズマイルを攻撃 輸出用穀物に被害、穀物価格が上昇

2023年8月3日(木)10時47分
破壊された穀物倉庫

ウクライナ南部オデーサ(オデッサ)州の河川港イズマイルが2日、ロシア軍のドローン(無人機)攻撃を受けた。アフリカなどに出荷予定だったウクライナ産穀物に被害が及び、国際穀物価格が一時上昇した。写真は破壊された穀物倉庫 WSJ News / YouTube

ウクライナ南部オデーサ(オデッサ)州の河川港イズマイルが2日、ロシア軍のドローン(無人機)攻撃を受けた。アフリカなどに出荷予定だったウクライナ産穀物に被害が及び、国際穀物価格が一時上昇した。

イズマイルはドナウ川を隔ててルーマニアの対岸にある。港の建物が破壊され、ウクライナ産の穀物を積み込む予定だった船舶数十隻がドナウ川河口で待機した。

ウクライナのクブラコフ副首相はアフリカや中国、イスラエルに出荷予定だった約4万トンの穀物が被害を受けたと述べた。

ロシアが黒海経由の穀物輸出合意から離脱し、黒海の事実上の封鎖を再開して以来、イズマイルからの輸出が主要な代替ルートとなってきた。しかし、ロシアはウクライナの穀物輸出を妨害するために攻撃を強めている。

シカゴ市場の小麦先物価格はイズマイル攻撃のニュースによる供給懸念で一時5%近く上昇。ロシアの輸出好調や同国が穀物合意に復帰する兆しがあることから、その後は下落に転じた。

ウクライナのゼレンスキー大統領は定例のビデオ演説でロシアが「世界的大惨事」を引き起こすために戦闘を繰り広げていると非難。

クブラコフ副首相はフェイスブックへの投稿で、ドナウ川沿いの港湾インフラが壊滅的な被害を受けたとした。また、今後何年間もウクライナ産穀物を他国産に置き換えることはできないと強調した。

ロシア通信(RIA)は、イズマイルへのロシア軍の攻撃が8回にわたり、石油ターミナルやウクライナ海軍の船舶修理場、外国人雇い兵や軍事装備を収容していた港湾や穀物の施設が打撃を受けたと報じた。

ロイターはこの報道を確認できていない。

オデーサ州のカイパー知事は通信アプリ「テレグラム」への投稿で死傷者の報告はないとした。

民間の船舶追跡データによると、ドナウ川河口では外国籍の船舶数十隻が待機しており、その多くがイズマイルを到着地としている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

岸田首相、「グローバルサウスと連携」 外遊の成果強

ビジネス

アングル:閑古鳥鳴く香港の商店、観光客減と本土への

ビジネス

アングル:中国減速、高級大手は内製化 岐路に立つイ

ワールド

米、原発燃料で「脱ロシア依存」 国内生産体制整備へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元カレ「超スター歌手」に激似で「もしや父親は...」と話題に

  • 4

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 9

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 10

    マフィアに狙われたオランダ王女が「スペイン極秘留…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中