そろそろ「子どもに優しい日本」で誇れる社会を目指すとき
イランも子どもに優しい社会だ。夕方になって子どもの友達が家にいると、おなかをすかせたまま帰すわけにはいかないと誰もが思うし、電車やバス、混み合う道路、レストランでも、子どもが邪険に扱われることは絶対にない。子どもは社会の宝であるという意識は当然あるが、それ以前に子ども好きの大人が非常に多い。
子どもを見れば何歳なの? お名前は? 何が好き? と自然に口から出てしまう。子どものいない若い男女も扱いを心得ている人が多く、ずいぶんと相手をしてくれる。子どもが苦手という人もいるのだろうが、そう口に出せない雰囲気である。自分もかわいがられて育ったのだから子どもをかわいがるのが当たり前。そういう社会である。
イランでは若者の反政府デモとそれに対する厳しい弾圧が続いている。私はイラン出身だと言うのもはばかられるくらいの悪い状況で、日々深刻化している。
だが市井の人の優しさは、政治体制や街の清潔さ、人々がちゃんと列に並び礼儀正しいかなど、表面上の美しさとは必ずしも比例しない。自分に厳しい社会は、子どもにさえ規律を求める厳しい社会なのかもしれない。
日本はそろそろ、街が清潔だとかロッカールームも掃除するとか自画自賛するのもほどほどに、子どもという宝に優しい社会を目指してもいいのではないだろうか。
石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン・テヘラン生まれ。2002年に留学のため来日。2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。YouTube:「イラン出身シャハランの『言いたい放題』」 Twitter:@IshinoShahran
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