最新記事

インタビュー

テレ朝・大下容子の「たたかわない生き方」──「女子アナ」、23年間の継続、女性の働き方、SNS

2021年10月19日(火)17時50分
朴順梨(ライター)
大下容子

<情報番組「ワイド!スクランブル」のMCを23年務める女性アナウンサー、大下容子さんが人生初の本を発売。ずっと第一線で活躍してきた秘訣を聞いた>

女性アナウンサーが「女子アナ」と呼ばれ出したのは、一体いつ頃からなのだろうか。

「子」と入っているのを見ても分かる通り、女子アナには「若くてキレイ」という要素ばかりが求められ、時にはタレントまがいの活動まですることもある。そしてそこには当然、熾烈な椅子の争いもある(と思う)。

テレビ朝日アナウンサーの大下容子さんは23年間にわたり、そんな戦場のような現場の中心に佇んできた。2018年からはメインMCに、そして2019年からは、自身の名を冠した番組タイトルになった。

ずっと第一線で活躍してこられた秘訣は何なのか。2021年の秋に、初めてのエッセイ『たたかわない生き方』(CCCメディアハウス)を発売した大下さんにうかがった。

「女子アナ」は別世界だと思っていた

――今回が初めての著書だそうですね。これまで本を出そうと思ったことはないのでしょうか?

これが人生初の本です。私は文才もないですし、淡々とした人生なので(笑)、書くほどのものはないと思っていて。でも今回、編集者の方が「本を出しませんか?」と言ってくださいました。

私は「ワイド!スクランブル」を23年続けていて、多種多彩な番組を担当してきたわけではないので、とてもびっくりしました。「書くことは特にないのです」とお伝えしようと思ったら、企画書に『たたかわない生き方』とありました。

それを見て「そういえば私って、そういうところがあるな。なぜ私のことを分かってくださってるんだろう」と思って、編集者の方にお目にかかってみたくなって。だからタイトルは私が考えたのではなく、頂いたものなんです。

――大下さんがテレビ朝日に入社した1993年は、90年代女子アナブームの真っただ中でした。当時、他局では歌をリリースしたり雑誌の表紙を飾ったりする女子アナが生まれる中、どんな思いを持っていましたか。

とにかく別の世界の人というか、同じ女性アナウンサーであっても同じじゃないと思っていました。タレント性が違いますし、だから私はテレビ朝日以外、全部一次試験で落ちているんです(笑)。

でもテレビ朝日は、人気のある1人(のアナウンサー)に仕事が集中するのではなく、常に皆で仕事を分け合っていたので、居場所があった。確かにごく一部のタレント性のある方が目立つのは事実ですが、そうでないアナウンサーも沢山います。だから自分も含めて、まばゆいのがアナウンサーとしての全てではないと思っていました。

――1998年に「ワイド!スクランブル」のMCになられて23年が経ちます。ずっと番組が続いてきた理由は、何だと思いますか?

私も不思議ですし、同時にありがたいことだな思っています。番組が始まってからは俳優の大和田獏さんと11年、寺崎貴司アナウンサーと4年半、元高知県知事の橋本大二郎さんとも4年半と、その時々のパートナーとともに1日1日一生懸命やっていたら、結果として続いてきたという感じです。

自分が続けたいと強く思っていたというよりは、毎日のオンエアにベストを尽くすしかないと思っていたら、いつの間にか23年経っていました。

かつて同じ時間帯に「笑っていいとも!」(フジテレビ)や「午後は○○おもいッきりテレビ」(日本テレビ)といった高視聴率番組があったので、あまり期待されていなかったのでしょう(笑)。結婚や出産という起伏がなかったのも、理由かもしれません。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中